奏デルハ喰血ノ調ベ
「……ひぃっ!!」
その姿を捉えた瞬間、
喉の奥から甲高い悲鳴が出た。
「ぁ……あっ…………」
あまりにも衝撃的過ぎて、
言葉が出ない。
目の前に居たのは、
あの男性ではなかった。
……いや、こう言った方が良い。
それは『人』ではなかった。
爬虫類の様な、細く長い体。
その体のいたるところに
白と青紫の不気味な斑点が
散らされている。
他にも
これまた不気味な色のヒレ、
少し開いた口から微かに見える、異様に長い紅の舌。
冷たい光を宿した目。
その全体的に不気味な姿の中でも
特に不気味さを際立たせて
いるのが
体の側面にある
顔から尾にかけて長く続く、
まるで裂けた肌を縫ったかの様な細いラインだ。