奏デルハ喰血ノ調ベ


氷の様な微笑を一切崩す事無く、
彼はわたしを音も無く絶望の深淵に引きずり込んだ。



ああ、わたし、モンスターに
捕まってしまったんだ。


麻痺した心が
ゆっくりと冷たくなっていく。



「さぁ……無駄話もこれまでだ。

そろそろ本題に入らせてもらおう
……待ちに待った至福の時間だ」



彼の指がわたしの頬を撫で、首筋を伝い、鎖骨を這っていく。

一本一本が刃物の様な不吉な指が
まるで前奏曲を奏でだす様に。


嬉々といった表情で、
彼は止めを刺した。


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