奏デルハ喰血ノ調ベ


まるで誰かが……恐ろしい何かが
沼地の奥で口を開けて、獲物が
通るのを待っているような……。


……奥まで行かないけど。


ああ、けれど、このエリアの薬草は全て摘んでしまった。

奥までは行かずとも、隣のエリアには行かなければ。



……まさか、
獲物がわたしなんて事は……。



……大丈夫、きっと大丈夫。
この寒気は空気のせい……。
そうよ、そうに決まっている。


嫌なイメージを振り払い、わたしは隣のエリアに足を運んだ。


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