彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
雨の日 の 君
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「───もー……参ったな……。
イマドキの中学生のキラキラパワーは、恐るべしだわ……」
傘をさして歩く俺の隣で、はぁっと小さくため息をつくのは、
トコちゃん……改め、
現在二十歳になった、俺の叔母・トーコさん。
国立大学の教育学部に通う彼女は、駅前の塾で講師のバイトをしている。
今日は……夕方前に降り出した雨。
パートに出ていたばーちゃんから電話で頼まれた俺は、
傘を持って、25分くらい歩き、トーコさんのバイト先まで迎えに行った。
「大磯さんも佐藤さんも、便乗して悪ノリするんだもん。
なんか……騒ぎになっちゃって、ごめんね……」
別に謝ることでも、なんでもないんだけども。
申し訳なさそうに、しゅんっ…としてるトーコさんが可笑しくて、
「………俺、弟なんだっけ……ばーちゃん、“実の母親”ってか?」
なんて、意地悪を返してみる。