彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
………トーコさんと会うのは小6の正月以来、実に3年ぶり。
俺が中学に入学した年は、トーコさんが大学受験だったし、
うちの母親が翻訳だけでなく、通訳の仕事も引き受けるようになり、
常にバタバタしていたのと、
俺の部活も案外忙しかったのとあって、
だいたい年に1・2回は行っていたばーちゃんちへの足が遠のいてしまい。
……気が付いたら、3年経ってしまっていた。
そんな訳で、3年ぶりの母親の実家───でも。
俺は、単に母親にくっついて帰省したとかじゃなく、
ばーちゃんち……トーコさんが住むこの家に居候することになってしまった。
そもそも、父親の海外転勤が決まったことを言い出したのが、
志望する公立高校への願書提出直前ってのが、うちの両親らしくて笑える。
さすがに、もうちょっと前に内示くらい出ていただろうに。
しかも、……それをばーちゃんに会いにいってから伝えるという、母親の迷惑ぶりは、
これから先もそうそう変わることはないのだろう。