彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
マグカップといちごみるく飴を手に部屋へ戻り、
トーコさんが入れてくれたあったかいカフェオレを飲んだ。
3月の雨で冷えた体に、カフェオレの温かさがふんわり優しく染み込む。
そして───しばし、手の中のいちごみるく飴を眺め……
包み紙の両側を引っ張り、口の中に放り込むと、
……コロンっと、甘い味。
さっき口に出かかったけど。
覚えてるよ……
──『ちっちゃくてさんかくは、元気が出るおまじない』──
「変わらないなぁ……」
クスクスと笑いながら、俺はベッドに転がった。
もう10年近く昔のその想いを、今でも大切にしている彼女。
彼女は、きっといい先生になれることだろう。
そんなトーコさんを、もっと見てみたいな、と思うけど。
一番側にいるのは、“甥っ子”の俺の役目じゃないから、
───今はこの距離で、
少しからかって笑うことくらい、いいよね……
俺はベッドの上でウトウトしながら、
そんなことを思っていたんだ────………