彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
───そんで、様子が気になって、部屋へ行き声かけたら、
熱出してて……苦しそうで……
「…………」
はぁ…っと吐き出されたため息を見送って、俺はベッドの上に転がった。
そう……熱でウトウトしていたトーコさんは、よく解らないことを色々口にした。
“逢いたかった”
“約束を守れなかった”
“ごめんなさい”
そして────
「………“好き”って、なんで……」
多分、俺の手を探していたであろう彼女が、
手のひらを差し出すと握りしめ、ほっとしたようにそう呟いて、
そのまま、眠ってしまったんだ。
………まあ、“手”とは言ってたけど、さ。
それでも……安心しきった、その無防備な寝顔を見て、込み上げてきた気持ちに戸惑い………
これは家族を心配する──そう、妹でも可愛いと思うような──それと同じだと、自分に言い聞かせた。