彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
そんで、たどり着いた桜の泉。
『なんだー、熱出して怖い夢見ちゃったのかも!』
始めにそう笑った彼女に、嘘はなかったと思う。
ところが────
泉を覗き込んだ彼女の顔は、見る間に強ばり、水面を凝視していた。
心配した俺が声をかけると……またもや、彼女は明らかに“平気な振り”をした。
「あの瞬間に何があったんだ………」
ゴロッと寝返りをうった俺は、
「そうか」
カバッと起き上がった。
今から、あそこに行ってみよう。
何が起こっているのか、行ってみたら、何か分かるかもしれない。
もしかしたら何も掴めないかもしれないけど、考え込んでいるだけよりはずっといい。