彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
─────…………
ぺろっ
………柔らかい感触を手の甲に感じて、目が覚めた。
にゃあ
さっきの白い猫が、ゴロゴロと喉を鳴らして、うつ伏せに倒れていた俺の手に甘えてくる。
「おまえ……小雪と、似てたのか……」
自分でそんなことを口にしながら───“小雪”?
“小雪”って……そう、猫……
猫の、名前……
ゆっくり身体を起こす。
その途端、ズキンッ!
頭に、鈍い痛みを感じて────
………あぁ、そういうことか。
トーコさんが泣いていたのは、
……トーコさんを泣かせたのは───他でもない、俺。