彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
───そんなこんなで、高校の入学式の日。
一緒に城址公園へ行って以来ぶりに、まともに顔を合わせたトーコさん。
ダイニングに座ってる彼女の後ろを通ろうとして、
………朝食を済ませ、ほよんと紅茶を飲んでいる、久々のトーコさんが可愛く見えて、
通りすがり、つい頭をポンポンッと撫でてしまった。
「なに?」
ヤバイ、思わず……
「………パンくず、ついてた」
そんなふうにごまかしながら、そそくさと洗面所に向かう。
そんな俺に、勿論気づいていないトーコさんは、相変わらず、
「“喰わず女房”じゃあるまいし!」
なんて面白い反応をして、俺を笑わせる。