彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
───今度こそ、彼女を不幸にしちゃいけないと、静かに心に誓う。
俺の手を握りしめ、桜吹雪の中に遥か昔の面影を感じて泣いていた彼女。
夢に幻に怯える彼女にとっては、決して幸せな記憶ではないのは、明らかだ。
──もう、泣かせたくない。
──笑顔を壊したくない。
そう願ってやまないから。
このまま“澪”のことなんて……“真”のことなんて、
何も思い出さずに、記憶の彼方へ薄れていけばいい。
澪────トーコさん。
3度目の正直で、今度こそ幸せな人生を歩んで。
………“俺”じゃない、“誰か”と、さ。