彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
君のために願うこと
※酔っ払いトーコを郁生が迎えに行く話です。
本編の『いちごみるく』の節とリンクしています。※
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『もしもーし? 郁??』
「───あ、瑤子さん、こんばんは。
すみません、遅い時間に」
『やだ、なにかしこまって。どーしたの?
……てか何? 郁、もしかして外にいる?』
相変わらず鋭い……。
まだ一言しか喋ってないのに。
俺は、大きな国道沿いのコンビニ前で自転車を止めて、瑤子さんのケータイに電話を掛けていた。
時計を見ると、もうすぐ0時を回ろうとしている。
「えっと……突然で申し訳ないです。
トーコさんの下宿先の場所を教えてもらえないかと…」
『波奈さんち? いいけど───トコ、どうかしたの??』
「あー……」
思わず言葉に詰まり、苦笑する。
相手は瑤子さん。正直に言うより他ない。
かと言って、『酔ったトーコさんが心配で迎えに行く』なんて、恥ずかし過ぎて言えず、
「───酔っ払いの、回収…です」