彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
『うーん……どんな状況な訳?
説明してもらってもいい?』
……瑤子さんらしい、冷静な切り返し。
俺は、つい1時間前に掛かってきた、冗談みたいな電話の内容を伝えた。
「えー…っと、───なぜか俺の同級生と、トーコさんのサークルの人と飲んでたみたいで。
……トーコさん、酔いつぶれて寝ちゃって、その同級生と家主さんから回収依頼の電話が掛かってきたんです。
場所は大学近くのアパートだそうなので、時間も時間だし、トーコさんを下宿先に連れていこうかと」
夜11時過ぎた頃、杏崎から掛かってきた電話は訳分からなくて、
戸惑っていると、───電話は聞いたことのない男の人に代わった。
それは以前、トーコさんから名前を聞かされたことのある人──トーコさんの大学のサークルの後輩“ゆーじん”さんで。
その奇妙とも言える組み合わせに驚きつつ、
しかも“ゆーじん”さんが喋っている横から杏崎が口を挟んできて、状況把握に時間が掛かり……