彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
『はー……成程……。
───ねぇ、もう上り電車終わってる時間だよね。郁、今どこにいるの?
もう、大学最寄り駅に着いたの? 帰りはどうするの?』
「まだ、国道沿いのコンビニ。
でも、帰りも足があるから大丈夫」
『……親が、車かなんか出してくれてる…の?』
「いや、自転車……」
『…………』
しばらくの沈黙の後、
『………もっかい、言って』
「だから、……自転車」
ぽつり、答えた俺の言葉に、
『───なんで、そうなるのっ!?』
………瑤子さん、耳痛いです……。
さすがの瑤子さんも驚いたようで、
『自転車って…… 馬鹿ねぇ、わざわざ行かなくてもいいんじゃない?
酔いつぶれたって言ったって、お店に迷惑かかってるとかじゃなくて、サークル仲間の家なんでしょう?
トコだって子どもじゃないんだから、朝になって目が覚めりゃ、自力で帰るわよ』
と、呆れた声が返ってきた。
「そうだけど……」