彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
『……ねぇ、郁生』
ふと、瑤子さんが俺の名前を呼んで……
『あたしさ……あんたのこと大切だし、大好きよ』
「………何、急に……どーしたの、瑤子さん??」
さっきまでと脈絡のない言葉に面食らって、小さく笑うと、
『ほんと、自分の無力さに情けなくなってさ……』
「…………」
『これ以上傷つかないように守りたいのに、その術が見つからない。
今のあたしに出来るのは、大好きな人達を大切に思って、その幸せを祈ることだけ……それが歯がゆい』
「瑤子さん……」
それって……
瑤子さん、気付いてる───……?
「……瑤子さん、あの…」
『───まあ、そんなこんなで、郁が大好きってことよ。これから先も、ずーっと』
「えっと……」
反応に困って、
「───ありがとう……」
ついお礼を言うと、
『ふふっ、どういたしまして。
───酔っ払いトコのこと、よろしくね』
最後は、いつもの明るい声の瑤子さんに戻った。