彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「……お邪魔していいですか?」
「あぁ、持ってって」
俺は靴を脱ぐと、
「……杏崎……まったく…何やってんの?」
呆れ顔で、恐らくグラスの中はカクテルであろう、同級生に声を掛けた。
「あたしは終電まだなんだ。大丈夫だよ」
検討違いな返事をする杏崎に、
ため息をついて、
「トーコさん、帰るよ」
ぐっすり寝ているトーコさんの肩をトントン叩いたけど、
トーコさんは「うーん…」と小さく返事をするだけで、動きそうにない。
……しょーがない。
「杏崎、手伝って」
ほにょほにょするトーコさんを、何とかおぶって、
「すみません、お邪魔しました」
トーコさんの荷物を確認して、家主さんに挨拶をすると。
「おう」と答え、玄関先に見送りにきた“ゆーじん”さんが、靴を履いている俺の背中に、
「こいつ……どーにかしてやって」