彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】

「どーにか、って……酔いが醒めるまでは無理じゃないかと……」


そんな俺の返答に、“ゆーじん”さんは、呆れたような、苦笑いのような、そんな声で言った。


「そーじゃねぇよ」


「────………」


トーコさんをおぶったまま振り向いた俺と目が合って……


この人────………


「気をつけて帰んな。

あ、大学の南門から入って、中を突っ切って、対角線上の裏門から出た方が、こいつの下宿先近いぜ。多分」


ヒラヒラと手を振りながら、「おら女子高生、おまえもそろそろ帰るぞ」と中の杏崎に声を掛けているのが聞こえた。


俺は───聞きそびれた言葉を飲み込んで、

よいしょ、と体勢を直すと、歩き始めた。


< 52 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop