彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「どーにか、って……酔いが醒めるまでは無理じゃないかと……」
そんな俺の返答に、“ゆーじん”さんは、呆れたような、苦笑いのような、そんな声で言った。
「そーじゃねぇよ」
「────………」
トーコさんをおぶったまま振り向いた俺と目が合って……
この人────………
「気をつけて帰んな。
あ、大学の南門から入って、中を突っ切って、対角線上の裏門から出た方が、こいつの下宿先近いぜ。多分」
ヒラヒラと手を振りながら、「おら女子高生、おまえもそろそろ帰るぞ」と中の杏崎に声を掛けているのが聞こえた。
俺は───聞きそびれた言葉を飲み込んで、
よいしょ、と体勢を直すと、歩き始めた。