彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「………ん…」
“寿司の竹花”を曲がって大通りに出たあたりで、トーコさんの声。
───起きたかな?
「トーコさん……?」
小さな声で名前を呼んだが、返事はなく。
スースー寝息が聞こえてきて、思わずくすっと笑ってしまう。
ずっと………すごく年上だと思っていた彼女が、あどけない表情で俺におぶわれてる。
まるで、ちっちゃい子どもみたいに。
そんなことだけで、愛しさが込み上げてきてしまう自分に、
「もう……限界かなぁ………」
離れなきゃ、きっと、もう距離がうまく保てない。
「『どーにかしてやって』ってさ………」
“ゆーじん”さんと目が合って、感じた。
………あの人も、恐らく俺と同じ目でトーコさんを見てる。