彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
日常のひとコマ~幸せなひととき~
※六章『嘘』の節の郁生サイドの話です。
ネタバレがお好きでない方は、本編が第六章に入ってから読むことをオススメします。※
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「……おまえさぁ、最近ご機嫌じゃね?」
オフリーのヨーグルメットをちゅちゅーっと吸いながら、急にそんなことを言い出したのは、高校のクラスメート・一ヶ谷蒼志(イチガヤ アオシ)。
「……は?」
10月下旬───陸上競技大会を終え、ようやく巡ってきた静かな昼休み。
弁当を食べ終わり、まったりとしていたら、
椅子へ後ろ向きに座り、背もたれ部分に顎を乗せてジュースを飲んでいた一ヶ谷が、いきなりニヤニヤし出した。
「なーんか、いいことあったのかぁ? いっくみちゃんは??」
「なに……一ヶ谷、気持ち悪いな」
上目遣いするなよ……しかも、“ちゃん”付け。