彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「な……なぁに?」
「ごめん……充電させて……」
腕の中のトーコさんは、「え? あの……うーんと…」とちょっぴり慌てながらも、
「……たい焼き冷めるから、高速充電で」
と、答えた。
「なんだ、たい焼きに負けた」
わざと寂しそうな声で言ってみる。
「───そうじゃないけど……」
「なに?」
「だって、家だし……?」
「……うーん……そだね」
返事とは裏腹に、腕をいったん緩め、部屋のカーペットに移動し、そこにトーコさんも座らせると、
もう一度ぎゅう…っと抱きしめた。
「落ち着くんだ、くっついてるとさ」
「なに、ぬいぐるみ的扱い……」
ふふっ…と笑ったトーコさんが、
「なんか……郁生くん……」
「ん?」
「しっかりしてて大人っぽいかと思ったら、案外…甘えんぼう……」
「だって───5歳もおねーさまでしょ? 優しくしてよ」
すると───なぜかトーコさんが焦ったように声を上げた。
「なんか、やらしー、その言い方!」