彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
おっと、そんな反応?
可笑しくて、ついついいじりたくなってしまう。
「なんもやらしーこと、言ってないじゃん。トーコさんの頭ん中がそうなんじゃないの?」
「………そっっ…」
言葉に詰まり、俺の腕の中で「もーっ! 離してよー!」と真っ赤な顔でジタバタする彼女。
「トーコさん、可愛い」
「やだ。ぜーったい“おねーさま”だなんて思ってないでしょ?」
恥ずかしさからなのか、半分ふてくされてる彼女が愛しくてたまらない。
「思ってる、思ってる。だってさ……」
──『なーんか、いいことあったのかぁ?』
……そうだな。
例え誰にも言えなくても。
未来の見えない関係でも。
腕の中で真っ赤になってる彼女が、今の俺のすべて。
………俺にとっては、最高の幸せ。
「こんなふうに甘えられるのは、トーコさんだけ」
そんな言葉に、
「もう、しょーがないなぁ……」って息をついて、ふにゃっと笑顔を見せた彼女に、
俺は、そっとキスを落とした───……