彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「なんか……悔しいんだけど……」
「はいはい、誤魔化さないの、トーコさん。
ちゃんと答えてよ。いつからだって?」
「だから……あの……初めて、手を繋いだ時……かな…」
「手? ───デパートで迷子になった時?」
「そ、そんなに昔じゃないよー! ……てか、よく覚えてるね、そんなこと?」
「あはは、記憶力いいから。
……てか、“初めて手を繋いだ時”って?」
「えー……だから、……花見の、……泉に着く前の……」
「そうだったっけ?」
「………やだなぁ、あれ、無自覚に手ぇ繋いでたの? 郁生くん、案外スケコマシ」
「ウソウソ、覚えてるよ。
だって、俺もドキドキしたもん」
「ほんとにぃ?」
「………そっかーなるほどー、だから、あの後手ぇ握って『好き』って言ってたのか」
「───え゛っ!? なんの話???」