彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「思い出しなんとやらは、むっつり助平ぇって言うじゃんか」
「…………」
それ………
「あ、吹き出してら。なに、スケベ大爆発?」
急に吹き出した俺を、一ヶ谷がますますニヤニヤして覗き込む。
……笑いが止まらない。
──『郁生くん、思い出し笑いはムッツリスケベの証拠だぞ』
迎えに行った雨の中────トーコさんの一言がツボに入って、いつまでも笑ってる俺に、
プーッとふくれた彼女が言ってた言葉。
「……そりゃ、健全な男子高校生ですから」
クスクス笑いながら、ついあの時と同じように答えると。
「お、オープンスケベ宣言。いいね、語り合おうぜー」
あー、まずった。めんどくさい展開になりそう。
「同じ括りにすんなって。───てか、置いてかれてるぞ」
杏崎達が大分前で、「早くー」と手を振ってる。
俺は、一ヶ谷を放って早歩きを始めた。