彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
「そのうち、一ヶ谷だって諦めるっしょ。
どんなに押したって、“彼女”の気持ち変わる訳ないんだし。
そんなに、自信ないの?
……こんなことで、いちいち安西が暗くなってたら、いらぬ喧嘩になるよ。
それこそ、本末転倒ってヤツじゃない?」
「────っっ」
俺はびっくりし過ぎて、思わずペットボトルを落っことしそうになった。
「なんで………」
すると、そんな俺を見て、杏崎がクスクス笑う。
「バカっぽい割に鋭い一ヶ谷も、まだ分かってないから、大丈夫。
でも、あたしは、一ヶ谷とは立ち位置も距離も違う自信あるからね、言っとくけど。
………うちゅー人さんちの飲み会の時、彼女酔っ払った後、安西のこと『好きだ』って泣いてた。
───彼女さぁ、ほわっと柔らかいのに、なんだか不安定で、放っておけなくなる。5つも年上なのにねぇ?」
「…………」