彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】
晴れた空に、想うこと
※本編より20年近く未来の話になります。
一応本編の完結を待たずにお読みいただいても、差し支えない内容となっております。※
────────────────
★ ★
さわやかな秋の風が、甘い香りを運んでくる。
………銀木犀が咲く時期か。
そう思いながら、秋晴れの空を見上げた。
雲ひとつない、快晴の空。
…………こんな空を見て思い出す、あの日のこと。
「────パーパ!」
背中に衝撃を感じて前につんのめると、
4歳になった娘が、俺の背中にのし掛かってきた。
「なーにしてんの?」
「んー、ここにお花を植えようと思ってさ」
土だらけの手をあげ、プランターを指差すと、
「それ、手伝うー!!」
サイドに2つに結んだ髪がぴょんぴょん揺れるのを見て、自分の頬が自然と緩む。
「あ、ねえねえ、パパにお手紙ふたつ届いてたよ!」
「そっか、ありがとう」