彼女を好きなワケ 【逢いたい~桜に還る想い~・番外編】

「あ………」


「なぁに??」


「うん……」


ふ……と笑みをもらした俺に、娘が不思議そうな表情をする。


ゆーじんさんの胸ポケットのチーフに、見覚えがあった。


────夜空の青に咲く桜………


お祝いの品を包むのに使った、蝋纈染め(ロウケツゾメ)の布。


“Something Borrowed”……幸せのお裾分け。



「ちゃんと、伝わったんだ……」


ゆーじんさんにも、────きっと、花嫁さんにも。



「パパ?」


「ありがと。───汚れないように、テレビの横に置いておいて」


「はーい」


パタパタっと部屋の中に入った娘は、今度は袖まくりをしながら、ベランダに戻ってきた。


「お花、ママがよろこぶかな?」


「そうだね。ここに穴を………」


「うん、うん」と一生懸命頷く度に、ぴょんっと揺れる髪を見ながら───


帰国する時は、この子とチビすけも連れて、ゆーじんさん達に会いに行こう。


それと……そうだ、墓参りにも…………



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