好き、だから抱きしめて



気がついたらベッドの上で朝を迎えていた。ゆっくり起き上がると上半身が裸な事に驚く。咄嗟に毛布で隠すが部屋にはもちろん誰もいない。



昨日のあれからを思い出してみる。藤宮は泣きじゃくる私を毛布で包み込み部屋まで連れて来ると私をベッドに寝かせ布団をかけてくれた。



『…ったく、男に隙見せっからだよ』



「……」



『男なんてヤらしい事しか考えてねぇんだぞ』



「…だって…ひっく…」



『…悪い。言いすぎた。
今日はとにかく寝て忘れろ』



私の髪をくしゃっと撫でて部屋を出て行った。藤宮なりの優しさを感じた気がした。
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