好き、だから抱きしめて



今、私は見ず知らずの男の人に追い詰められてます。



『だから、お前は誰なんだよ』



「あっ、あのっ、私は…お姉ちゃんに頼まれて」



『…お姉ちゃん?』



少し考えた彼は納得した様子で顎に手を置きながら私を見た。



「あのっ!あなたは彼氏さんですか?」



『は?誰が誰の彼氏だよ』



変なヤツを見る目つきで私は睨まれる。



「だから、お姉ちゃんの…彼氏ですか?」



『あのなぁ…。なんも聞いてないわけ?』



「聞いてません」



ふ~ん、なんて意味深な笑いを浮かべながら私を押し退けると部屋の扉をバタンと閉めてしまった。



な、な、なんなのよ。アイツは!



人の質問にろくに答えもしないで無視するこの男に苛立ちを覚えた。


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