キミのイタズラに涙する。


どうしたらいいのか自分では考えられなかった。


ただ重い病気にかかったという事だけを実感して生きる。


いつ治るかも分からない。

また学校に行けるかすらも分からない。


絶望のスレスレ。


そんな所に立たされた時、人は意外にも


何も考えないものだった。


「隆平、隆平」


母の呼ぶ声で我に返った。


ああ、また心がどこかに行っていたらしい。


「学校のことなんだけど……」


母がそれを言った時、俺は何かから覚めたように反応した。


「言わないでくれ!!病気のことは学校に言わないでほしい」

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