キミのイタズラに涙する。


勢いよく立ち上がった田辺君は

教室を飛び出して行ってしまった。


田辺くん……。

彼が教室からいなくなるとまた

周りの悪口が始まる。


「何あれ、生意気~」

「調子乗りすぎでしょ

悲劇の演じちゃってね?」


「うわ~笑えるわ~」


ざわざわと騒ぎ出す周りからこぼれるのは

全部田辺くんを否定するものばかり。


それだから、


それだから


前を向きたくなくなるんだ。


私は知ってる。

周りが自分の悪口を言っている時

自分の世界は真っ暗になるということを。


闇に包まれて、もう上がってこれないんじゃないかって思うほど

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