メイドさんに首ったけ!?
電車に揺られること数十分。


目の醒めた私たちは、暗くなりつつある夕暮れの歩道を歩いていた。


「霧様、今日は本当にありがとうございました。
とっても嬉しかったです」


隣を歩く霧様を見上げながら、素直な気持ちを口にする。

サプライズばっかりで、混乱したけどこんな大掛かりな誕生日なんて初めてだもん。

嬉しすぎる。


「いや、僕も露の誕生日を一緒に祝う事ができて嬉しかったよ」

「霧様……」


そうやって霧様は、最後の最後まで嬉しい事をおっしゃってくれるのですね。

寄り添うように並び、手と手がぶつかると霧様は自然と私の手を取ってくださり、ぎゅっと握り締めてくれる。

その温かさが心地よくて、私もそっと握り返す。


そんな些細な事だけど、すごくすごく嬉しくて…。

涙が溢れそうになる。

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