メイドさんに首ったけ!?

……僕は父さんが苦手だ、というより嫌いだ。

仕事ばかりで家族を顧みず、あちこち地方やら海外やらへと飛びまわってばかりで。


父さんだけじゃない。

母さんも、兄さんも仕事に忙しく、僕はいつも一人だった。


その孤独さが自然と僕の心を閉ざし、いつしか僕は他人と接する事から逃げていた。

それでも構わないと思っていたけど、やっぱり一人でいるのは淋しくて……。

そんな時、露に出会い、露は僕を孤独から救ってくれたんだ――。


「……もしもし、父さん？」


病院の外へ出て、携帯に登録してる父さんの携帯の番号へと電話をかける。

数回コールした後、父さんに低い声が耳に届いた。


「帰り、少し遅くなるから。じゃあ」


簡単に用件だけ伝えると、僕はすぐに電話を切った。

父さんも突然の電話に驚いているようだったけど、特に何かを言うわけでもなく、わかったよとひと言だけ言いう程度だった。