メイドさんに首ったけ!?
突然大きな声を出した綺さんに、さすがの陸さんも驚いたようでびくっと肩を震わせ、綺さんを見やった。


「大変よ、陸くん!」

「だからなにがだい?」


綺さんも、よほどのことなのか非常に興奮した様子で陸さんを見上げている。


「露ちゃんが元に戻らなかったら……」


綺さんのその意味深な言葉に僕も息を飲み、その続きに耳を傾ける。

やはり、そんな簡単にことは運ばないと考え直したのだろうか。

僕らの間に無言の緊張が走る。


しかし、


「鏡よ!」

「……は?」

「鏡を隠さなくちゃいけないじゃない!」


よほど重要なことを聞かされるのかと思い、気を張っていたが、綺さんのそのひと言で完全にその場の緊張感は崩され、今度は違った意味で言葉が出なくなってしまった。

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