先輩×後輩
――――――――……
――――――……


「離れていかないよ…」

あたしは静かに言った。



「俺…婚約者がいる」



「え…」



あたしは一瞬、頭が真っ白になった。




「俺…婚約するんだ」




「嘘でしょ?」

「嘘じゃねぇよ…」

「いつから知ってたの…?」

「海に行ってから…すぐ」


海に行ってから…?



「相手は…誰なの?」




神様はけちだ。


あたしのちっぽけな願いすら、叶えてくれなかった。






「萌華だよ」






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