先輩×後輩
優子の家を出て、あたしと俊くんは手を繋いで帰った。
あたしも俊くんも疲れてるし、今日は歩くのがゆっくり。
でも、その分一緒にいれる時間が長くなるもんね。
「夏休み、どこ行こっか」
「さくらの好きなとこでいいよ」
俊くんてば、そんなときまで優しいんだから。
あたしはそういう小さな1つ1つに、心がくすぐられる。
「行きたいところいっぱいあって迷っちゃうね」
次、俊くんはいつ会えるのかな?
もう夏休みだし、もしかして遊ぶ予定とか入ってるのかな。
そんなあたしの心配を読み取ったのか、俊くんが繋ぐ手にきゅっと力を入れて言った。
「さくら優先だから」
「優先…?」
「そ。別にあいつらとは学校でも会えるし」
「いいの?」
友達と遊ぶのだって、夏休みの楽しみだもんね?
「当たり前。俺、今年の夏はさくらに使うって決めてるし」
えっ…えっ!?
なんだかあたし、今すっごく嬉しい言葉を言われたような…!?