先輩×後輩
「花火大会…」
「え?」
小さくてよく聞き取れない俊くんの声。
あたしは首を傾げて、俊くんに近づいた。
「今日さ、急にバイトが入って」
さっき、電話で言ってた話だよね?
あたしは俊くんの隣で塀に背中をあずけた。
「本当は今日はなかったんだけど」
俊くんは、地元のカフェでバイトしてるの。
あたしと俊くんの家は駅1駅分だし、よく遊びに行ってるんだ。
「先輩に変わってもらったんでしょ?」
なんか用事でも入っちゃったのかな?
「そ。来週…」
そこで急に黙り込む俊くん。
どうしたのかな?
「俊くん?」
「花火大会…行くだろ」
「え?」
今、花火大会って…?