先輩×後輩


「…何も言ってねぇよ」



俊くんはそう言って、今度は顔ごと逸らした。


…絶対あやしい。


あやしい〜〜!!



「なんて言ったの?」

「…うるせ」



俊くんに近づいて言ってみたけど、全然教えてくれる気配なし。


どうして言ってくれないのよ〜〜


あたし、浴衣のこと俊くんから聞きたかったのに…


あたしが少ししょんぼりしていると、



「…まあ、似合ってたんじゃねぇの」



…え?


そう呟いた俊くん…


…似合ってた?


…ほんと?


あたしは赤くなりそうな顔をおさえて、俊くんを見つめた。


だけど…


俊くんはあたしなんかより、


もっともっと…赤い顔をしてた。

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