SWEETPAIN~冷たい旦那サマは副社長~
彼の面子もあるし、私は素直に従った。



「ゴメンなさい。急な出費をさせてしまって…」


「別にいいよ。お前は俺の婚約者だ。俺は体裁は繕うと言ったはずだ」


私は早速、ミンクのフェイクファーを首許に掛けて、目立っていた胸許を隠す。


「そのグロス、地味な色だな。他に色はないのか?お前専属のスタイリストを雇うべきだったな」


蓮人さんは私の付けた口許のグロスもお気に召さないご様子。



「…グロス、塗り直します」



「いいよ。時間がない」


せめて、蓮人さんに嫌われまいと彼の望む女性になろうと努力を重ねるけど。

私の努力は空回りばかりしていた。


「それよりもこっちに来い…」



蓮人さんは柱の影へと私を引き込んだ。












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