みつばちとはちみつ


「うん、おばあちゃんによろしくね。
うん・・じゃあね。」


そう言って 電話を切る…
兄貴は 帰って来ない。くうも さっき聞いて 知ってるはず…


「・・嘘、ついちゃった・・」


まだ 背中を向けたまま、ぽつりと 呟い
た…こいつが 親に嘘?…


「くう・・?いいの?・・嘘 ついて?」

「・・嘘ついてでも ・・ヒロと 一緒に
いたい・・・いい?・・」


震える小さい声が 聞こえた瞬間、後ろから きつく抱きしめていた…


「くう・・・くう・・」

自分で言った嘘の 罪悪感で震えてる…

ごめん…じゃない。ごめんって言えば
たぶん もっと苦しみそうで…

この罪悪感よりも、俺との時間を選んでくれた事に…


「くう・・ありがとう。一緒にいてくれて・・ありがとう。大好き・・」


小さく「うん」と頷き やっと俺を見上げて…

< 245 / 268 >

この作品をシェア

pagetop