弟系男子が『弟』をやめた時。



殴られた頭をさすっていると


後ろからガラッと引き戸が開く音がした。



振り返ってみると

そこには私を泣かせた張本人、

眞樹原がいる。






「ふっ、朝から泣いてるし」


「お前のせいじゃバガ」


「バカさえ言えてないじゃん。」



あろうことかこの男、

泣いてる乙女を見てさらに馬鹿にしよる。




え、乙女じゃないって?

そっか、そうなのか。

まぁ、それはおいといて。うん。




「本当、最低…ずび」


私は眞樹原に恨みのこもった目を向けた。


「はいはい。」




対して眞樹原は呆れたように言うと、

私の頬に手を添えてくいっと上を向かせる。



そして、



「ごめんって、

汚い顔のくせにさらに汚くなるよ。」




そう言って笑って

涙の跡を親指でなぞった。









「触んな」


「拗ねるな」



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