弟系男子が『弟』をやめた時。
「てか、永澤の頬腫れてたから
これで冷やせるかなと思って買ったけど
…なんかテーピングしてるし。
意味ないじゃん。」
冷やせよあほ、とか暴言を吐きながら
眞樹原は私にカルピスワーターを投げ渡す。
「…ありがとう。冷やす。」
カルピスワーターが売ってるのは
校舎の裏側の自販機だ。
遠いし買いに行くのが面倒だから
近くの自販機で他のジュースを
よく買っていたんだけれど、
眞樹原はわざわざカルピスワーターのために
遠くまで買いに行ってくれたのかもしれない。
…天敵とはいえ、
一応気を利かしてくれたんだな。
素直に感謝の気持ちを言葉にする。
すると眞樹原は、
珍しくばつの悪そうな顔で私を見つめた。