弟系男子が『弟』をやめた時。
「痛かったよな。ごめん。」
本当に申し訳なさそうな顔で謝る眞樹原。
え、きもいぞ。
「なんそれ。きもいわ。」
思わず口から滑り出た言葉は
もう無かったことにはできない。
眞樹原はさっきまでの表情から一変して
「死ね」とだけ恐ろしい顔で吐き捨て
私に背を向けて教室に帰っていった。
…やってもーた。
まあ、いいか。
カルピスワーターでほくほくの私は
キュッとペットボトルのふたを開け
早速喉に通す。
…む。若干ぬるい。
眞樹原の地味な嫌がらせか、と思ったけれど
男バレ集団がたむろっていたのを思い出す。
────あぁ、眞樹原も
私が宇美瀬くんと話してる間、
ずっと待ってたのか。
5月の昼下がり、
窓から入る太陽の日差しが眩しい。
私はぬるくなったそれを
テーピングを外した頬にそっとあてがった。