弟系男子が『弟』をやめた時。
俺が永澤さんを好きな理由
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あ、いた。
永澤さんだ。
廊下ですれ違う度、
俺は横目で彼女の姿を確認する。
すれ違うだけで
特には何も起こらないんだけれど
ただ永澤さんの姿を見れるだけで
それで幸せだった。
今日もいつも通り
永澤さんに気づいていないみたいに
隣の友達と話してるふりをする。
いつも通り。
そう思っていた、のに。
「あ、宇美瀬くんおはよーうっ」
思わず、ドキッと胸が高鳴った。
この間、永澤さんの様子を見に
保健室に足を運んだのが功を成したのか
まさかの永澤さんからの挨拶。
思いがけないことで若干焦った俺は、
「…はよ、」と上擦った声で返事した。