弟系男子が『弟』をやめた時。
俺が永澤さんを好きな理由



*********************




あ、いた。


永澤さんだ。







廊下ですれ違う度、

俺は横目で彼女の姿を確認する。


すれ違うだけで

特には何も起こらないんだけれど

ただ永澤さんの姿を見れるだけで

それで幸せだった。








今日もいつも通り

永澤さんに気づいていないみたいに

隣の友達と話してるふりをする。





いつも通り。



そう思っていた、のに。








「あ、宇美瀬くんおはよーうっ」









思わず、ドキッと胸が高鳴った。








この間、永澤さんの様子を見に

保健室に足を運んだのが功を成したのか

まさかの永澤さんからの挨拶。





思いがけないことで若干焦った俺は、


「…はよ、」と上擦った声で返事した。


< 38 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop