弟系男子が『弟』をやめた時。
「…お前、中学生か。」
永澤さんが通り過ぎた後、
俺の隣にいた友達、鷹谷修(たかやしゅう)が
俺の背中をバシッと叩く。
「焦った。…マジ可愛い。」
今の心境をそのまま告白すると、
鷹谷は遠慮なく顔を歪めた。
「相当イカれてんなお前。」
あんな色気ねーのどこがいいんだよ、
とか失礼なことを言い出す鷹谷。
俺からしたら、
永澤さんの良さが分からない方が
よっぽどイカれてると思う。
「可愛いって、ほんと。見てみろよ。」
振り返って永澤さんの後ろ姿を捉える。
ちょうど、友達と笑いながら
階段をのぼっているところだった。
…。
「…パンツみえねーかな。」
ぼそっと本音を呟く。
鷹谷はやっぱり、
怪訝そうな顔をしていった。
「宇美瀬ってえげつねーな。
女子が聞いたら多分ガチで引くぞ。
宇美瀬がんな事言うのかって。」
知らねえよ。
誰が勝手に俺のキャラ決めてんだ。