弟系男子が『弟』をやめた時。
私が懐かしさに目を細めているうちに
話はだいぶ進んでたみたいだ。
「永澤は彼氏つくんないの?」
あれはあれ、とか何とか言いながら
悠里はクラスメートの男子を指差し始めた。
「田中くんは?」
「かっこいいけど、タイプじゃない。」
「じゃあ、水谷くんは?」
「かっこよすぎて、隣に並ぶの辛い。」
「麻生くんは?」
「え、総理大臣っぽいし」
だいたいカッコいい人を指すところが、
悠里の面食いさを象徴していると思う。
「じゃあ、あの人は?あいつ──」
もういいよ、と思いつつ
悠里の指差す方向に目を向けた。
『女子の山』。
みろ、女子がごみのようだー
とか言えそうなくらい女子が戯れている。
男子なんて一欠片も見えないけど、
悠里が指差す男子のことはすぐに理解できた。
「あぁ、眞樹原…。」