弟系男子が『弟』をやめた時。
第一印象は『変な女子』だった。
いきなり『えろい』とか言ってくる女子、
今まで見たことがない。
俺が気づいていないと思っているのだろうか、
ちゃっかり指差して結構大きい声で
俺のことを話していた。
…何だ、あの人。
怪訝に思いながらも
二試合目のコートに向かう。
彼女は相手側のクラスだったようで、
目を爛々と輝かせて体育館の隅で
試合が始まるのを待っていた。
with雪だるまで。
「永澤ふざけんな、何その隣の」
「え、スノ子ちゃん。
寿司巻くやつじゃないよ。」
相手側のコートの男子が
イライラした様子で彼女に突っかかる。
バレーボールでスノ子を打ち抜いたその男は
確か、眞樹原稟だ。
さっき、俺のクラスの女子が
「稟ちゃんおでこ出してる!可愛い~」
って悶えてた。
前髪を大きいピンク色のピンで
留めているところを見ると、
あれが本人なのだろう。