弟系男子が『弟』をやめた時。
「あ゛ぁ゛ーっ!!!
スノ子おおおお…スノ子おおおお」
『永澤』さんが絶叫すると
周囲の人々がどっと笑う。
永澤最高だわ、とげらげら笑い合う声を聞いて
俺も思わず笑みをもらした。
────おもしろい人だな。
試合の始まりを告げるホイッスルを
聞きながら、俺はそう心の中で思った。
───二試合目は一試合目よりも
経験者でチームを固めたのが良かったのか、
俺のクラスが優勢だった。
高く上がるトス。
ブロックも上手くシャットアウト出来ている。
俺が打つスパイクも、
次から次へと決まっていった。
「なんであんな強いんだよ!」
意味分かんねえ、とゼエゼエ言いながら
額を拭う相手チーム。
いい眺めだな、なんて楽しみながら
試合を続けていると。
「今の見たーっ!!悠里!
宇美瀬くん腹チラしたって!!」
スパイクを打った後着地した瞬間、
永澤さんの声が体育館に鳴り響いた。
…マジ、か。
それを聞いて、思わず赤面する。
んな大声で言うなって。