弟系男子が『弟』をやめた時。
文化祭前のロマンスの予感はぱない
*********************
「ね~、ね~、悠里悠里~」
「何なのそんなニヤニヤして」
「うふふ」
「何やねん」
悠里はしびれを切らして
ドカッとタウンページの角で私の額を殴る。
もう悠里がタウンページを持っていても
驚かなくなってきた。
今度水道屋さんの電話番号が知りたくなったら
悠里に教えてもらおう。
「これ、見なさい。」
私は満面の笑みで
手に持っていた紙切れをばっと開いた。
『文化祭』
この紙には、堂々とその三文字が
中央に並んでいる。
「…『文化祭』?」
「そう。これ一年前のチラシ。」
私は悠里の前でひらひらとそれを動かす。
そう。文化祭。
この高校は約1ヶ月に渡って
授業を中止にして文化祭の準備をする。
だから文化祭の完成度は高いし
それを目当てに入学してきた人だっている。
一年前に初めてここの文化祭を経験して
私は神に誓ったことがあるのだ。
「文化委員、しよ!」
私はずいっと悠里に詰め寄った。