弟系男子が『弟』をやめた時。
「…はぁ?」
頭沸いてんの?と言いたげな顔で
じっと見つめてくる悠里さん。
いやん。ひどい。
「だってさー、楽しいじゃん!文化祭!
やりたいじゃん!青春したいじゃん!」
そう、青春だよ諸君。
彼氏がいる君にはもはや必要ないかもだけど
私には恋の見込みがないから文化祭だけでも
友達と青春したいんだよ。
ありったけの思いをぶつけるために
悠里の足にすがりついてお願いする。
「彼氏がいない私のために
一緒に文化委員になってください!!
どうしても青春したいんです!」
恋なんてもはや敵ぞよ、とぼそぼそ言いながら
悠里の足元で三角座りして俯いていたら
悠里は私の前髪らへんを引っ張って
私の顔を無理やり上げさせた。
「…よく見ろ、このチラシ。」
ぐいっと目の前に突きつけられたのは
さっき私が持っていた文化祭のチラシ。
文化委員を決めるためのチラシだったんだけど
よく見ると注意書きには
『各クラス男女一名ずつ』
と書いていた。
「文化祭後に
カップルができるのは定番でしょ。」
悠里は哀れむように私を見下ろした。