弟系男子が『弟』をやめた時。
そうして私に向き直って言う。
「ちょっとね、
生意気だったから調教してやったの♡」
不適にニヤリと笑う高岡ちゃんに
薄ら寒さを感じた。
「あいつ、女子にモテるから
常日頃イラついてたんだよな。
まあ、心に大きい傷を負ったみたいだから
あんまり訊かないでやってな。」
やべえ。
眞樹原と高岡ちゃんの間に
いったい何があったんだ。
想像したくない絵面が
次々に脳内を駆けめぐっていく。
「禁断のやつじゃないですよね?」
「は」
私と高岡ちゃんの間に沈黙ができる。
「コーヒー、淹れてきたけど。」
気まずい雰囲気のなか、
何も知らない眞樹原が戻ってきてしまった。
「おー、ありがと。」
「ん。」
「…あー、にがいなー。」
「いつも飲んでんのブラックだろ。」
あぁ、見ればみるほど
そういう関係にしか見えない。
なんと可哀想な眞樹原…。
職員室を出た後、
私はそっと眞樹原の肩に手を置いた。
「…私にできることあったら、言ってね。」
「は」
また沈黙ができた。